院長挨拶

 

政策課題に挑戦するフロンティアへようこそ

山崎 幹根

公共政策大学院 院長
山崎 幹根
Mikine Yamazaki

北海道大学公共政策大学院は2005年4月に開設され、ちょうど20年を迎えました。この間、多くの学生諸君を迎えるとともに、修了生を国内外問わず各界に輩出してきました。われわれが取り組んできた公共政策のテーマを振り返れば、従前より今日に至るまで根本的である争点もあれば、内外の情勢変化を通じて新たな政策課題も生じています。例えば、グローバル化の影響は経済や社会のあらゆる場面でますます進行する一方、国境を超えるヒト、モノ、カネ、情報を制御するルールづくりの困難に直面しています。また、日本全体の人口減少と東京一極集中が引き起こす諸問題も深刻度が極まっています。政策課題を解決する主体である、国際機関・団体、国・地方の政府、国内外の企業、NPO/NGO、地域社会のあり方と相互の関係は、いっそう複雑化しています。こうした中、われわれが立脚する現実を的確に読み解き、直面する諸問題を解決する方法を見つけることは容易ではなく、過去の経験や既存の知識がそのまま現在に妥当するものではありません。

北海道大学公共政策大学院は、混迷を深める現代社会を正しく認識し、問題を解決するためのアプローチを構築する能力を備えた人材を輩出するために、新しい発想のもとに設立されました。「文理融合」という理念の下、既存の学問の分野をこえ、相互に刺激し合いながら新しい学問体系の構築を目指しています。また、従来までの研究中心の大学院の枠を超え、積極的に社会の諸問題を解決するための知見を獲得することを目的としたカリキュラムを提供することによって、学と実務との連携を重視し、実践しています。そのため、法学、経済、工学の各分野から最もふさわしい教授陣が集まるとともに、第一線の現場で公共政策の形成・実行に携わってきた豊富な経験をもった実務家教員が、研究はもとより、日々、学生諸君への指導に情熱を注いでいます。

われわれは、国・地方の政治家、行政官をはじめ、ジャーナリスト、NPOやシンクタンクのスタッフ、民間の企業家など、広い意味で公共政策の形成と実践に携わる担い手になることを目指している方々を歓迎しています。同時に、これらの職業に携わっている方々を社会人学生として受入れ、また、官民を問わず多くの団体とのネットワークを形成し、連携を深めています。

周知のとおり、北海道大学は札幌農学校以来、進取の気性を重んじる校風の下、発展を遂げてきました。また、北海道が東京から離れていることの利点として、日本および世界の政治や経済、社会を冷静かつ客観的に分析するのに極めて適したポジションにあります。その一方で、内外の研究者との交流を広げ、海外の大学や国際機関との結びつきを強めています。同時に、北海道は独特な形でグローバル化の影響が及ぶ一方で他地域に先駆けて人口減少・高齢化が進行し、数々の政策課題に直面していることから、公共政策を学ぶフロンティアにあるといえます。

みなさんが、これからの時代にふさわしい発想と方法に裏付けられた公共政策の担い手となるステップとして、北海道大学公共政策大学院で学修を積まれることを心より期待しております。

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