HOPSとは
北海道大学公共政策大学院の理念
政策が、一部の行政エリートだけのものである時代は終わりました。分権化の流れのなかで自治体職員の政策提起能力が問われています。グローバル化と多元化のなかで、民間企業や、非営利団体の発信する政策も重みを増しています。国の行政官のリーダーシップは依然として重要ですが、新たな政策課題に対応し、多様な主体のパートナーシップを作り上げることのできる、よりいっそう柔軟な発想と豊かな政策知識が求められるようになっています。
北海道大学公共政策大学院は、このように政策の担い手が飛躍的に増大する時代に対応して、多様な人材を育てるべくスタートした、専門職大学院です。
本大学院の目的
本教育部は、公共政策に関する実務の基礎的素養を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に行うことにより、国、地方公共団体、国際機関等において公共政策及び公共サービスに関する企画、立案、実施、評価等を担う専門家及び職業人を養成することを目的とします。 (「北海道大学大学院公共政策学教育部規程」 第1条の2 より)
4つのKEY WORD
1.文と理の融合
北海道大学公共政策大学院の最大の特徴は、法学研究科・経済学研究院・工学研究院による「文理融合」という理念です。「公共経営コース」「国際政策コース」「技術政策コース」の3コースを併設し、相互に刺激し合いながら、既存の学問分野やこれまでの専門領域を超えて、公共政策に必要な学問領域を横断的・体系的に学ぶことができます。
2.理論と実践の架橋
公共政策の研究者等に加え、中央省庁や政府機関など、各界の第一線で活躍されている実務家を教員として迎え入れています。理論と実務との連携を重視し、個別の政策課題の解決に当たって必要な「構想力」と「実現力」の融合を図ることによって、これからの社会に求められる「政策の創造者」となる実務者の養成を目指しています。
3.「グローカル」な視点
今日の政策現場では、グローバル化によって生まれている世界共通の課題に対する知見と行動力を持つことが求められる一方、グローバル社会と地域(ローカル)の相互作用をしっかり認識することも重要です。食や環境、エネルギー等、様々な問題の切り口を実地に学び、「グローカル」な視点で解決を図る政策形成・実施能力の獲得を目指します。
4.北海道発の公共政策
地方の自立は、その地域に活力がなければ実現することができません。少子高齢化・過疎化が進む中で産業や雇用を創出し、持続的に成立させるためには、その地域の実状を踏まえた公共政策が重要です。官民の地域に根ざした取組みとの協働を通じて、全国に発信できる、しっかりと地に足のついた政策を考えていきます。
学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
大学院公共政策学教育部は、本学が掲げる4つの基本理念(フロンティア精神、国際性の涵養、全人教育、実学の重視)の下、公共政策にかかわる専門的素養を身に付け、社会の様々な問題解決に向けたアプローチを構築する人材の育成を教育目標にしています。
本教育部専門職学位課程の修了要件は、当該課程に所定の年数在学し、リサーチペーパーの提出を含め所定の授業科目を履修し、所定の単位を修得することです。
なお、本教育部公共政策学専攻のカリキュラム・マップ(平成29年10月26日制定)においては、以上の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー〔DP〕)を以下のように敷衍しています。
DP1 公共政策・公共サービスに関する専門職業人が備えるべき公共性に対する鋭敏な感性と高い正義意識をもとに、地域社会・国内社会・国際社会に顕在・伏在するさまざまな公共的課題を自ら発見できるようになる。
DP2 公共政策・公共サービスに関する専門職業人にとって不可欠な、文系的と理系的とを問わない綜合的な学知と思考力とに基づき、あらたな政策・サービスを実現可能なかたちで構想・立案し、あるいは既存の政策・サービスに対して客観的かつ科学的な評価・検証を加えられるようになる。
DP3 公共政策・公共サービスに関する専門職業人がプレゼンテーション・説得・交渉・合意形成などにさいして活用すべき、実践的な能力とスキルが高度に備わる。
教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
大学院公共政策学教育部は、学位授与方針で掲げる人材を養成するため、次の特色ある取組により教育課程を編成・実施します。
文理融合
文理融合のコンセプトは、今日のいわゆる「縦割り社会の閉塞感」が、専門領域に特化した高等教育の延長線上にある問題ではないかとの認識のもと、公共政策に本来必要な学問領域を、文系・理系という従来の枠を超えて学ぶことを目指しています。そのために、「公共経営」、「国際政策」、「技術政策」の3つのコースを設置しています。文理融合の理念のもと、社会人学生・外国人留学生を含む、多様な資質と経験をもつ学生が学んできています。
国際性の涵養
国際的な視野を形成するための科目を開講するとともに、英語で開講する授業科目も設置し、実践的な英語力の向上も意図しています。加えて、独自の留学プログラムも設置しています。
特色ある教育プログラム
具体的な政策事例の研究や政策の実施現場の調査などに携わる実践的な演習を行ない、座学では得られない臨場感のある授業を学生に提供しています。さらに、エクスターンシップという、行政機関・民間企業・NPOなどに出向く実践授業を開講し、多様な視点を養っています。また、少人数制のもとでの双方向・多方向の授業を展開するとともに、入学から卒業まで、一人一人の学生に綿密な指導ができる体制を整えています。
キャリア形成の支援
進路指導教員が定期的に就職活動の支援を行なっています。さらに、公務員試験等就職活動をサポートし、就職に関連した情報提供等を行なう目的で外部のNPO等と連携することも含め、就職に関連した支援を行なっています。
教育の質の保証
高い教育の質を保証するため、授業評価アンケートを実施するとともに、教員同士の授業参観を実施する等、授業の質の向上に向けた取り組みを行なっています。
公平な学習成果の評価
成績評価に透明性と公平性を保証するため,成績評価基準のガイドラインにおいて,以下のように定めています。
Ⅰ.成績評価の基準
- 成績評価にあたっては,「公共政策にかかわる専門的素養を身に付け,社会の様々な問題解決に向けたアプローチを構築する人材の育成」という本教育部の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)を踏まえ,授業科目ごとに「到達目標」を設定し,履修者の学修成果の達成度に応じて行うこととする。
- 成績評価は原則として絶対評価によるものとし,各科目に定められた「到達目標」の達成度に応じて評価する。ただし,絶対評価にともなう科目間での成績評価分布の極端な不均衡の発生を防ぐため,授業担当教員は担当科目の成績分布が,本教育部が別に定める成績評価分布基準を充たすよう努める。
- 授業科目ごとに「到達目標」が適切に設定されていること,およびそれに基づき成績評価が適切に行われていることを,学期ごとに教務委員会において検証し,必要に応じて担当教員に再検討を依頼する。検証結果は教授会にて報告するものとする。
Ⅱ.成績評価の方法
- 成績評価は,試験結果,レポート評価,成果発表(プレゼンテーション),学修態度等により行う。
- 成績評価は5段階(秀・優・良・可・不可)の評価制度による。
- 授業への出席状況自体を単に点数化して評価に用いることはできない。
- 具体的な評価方法は,授業担当教員が定める。
アセスメント・ポリシー(学修成果の評価の方針)
目的
(1)公共政策学教育部公共政策学専攻では「北海道大学アセスメント・ポリシー」に基づき,学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)で示された教育目標への到達度を高めるために教学アセスメントを実施する。
実施体制
(2)公共政策学教育部公共政策学専攻の教学アセスメント実施責任者は,公共政策学教育部長とする。
(3)公共政策学教育部公共政策学専攻の教学アセスメントは,公共政策学教育部教務委員会において実施する。
実施及び分析
(4)公共政策学教育部公共政策学専攻の教学アセスメントは,別に定めるアセスメント・チェックリストにより実施する。
(5)評価結果を参考とした教育改革の内容は,積極的に公表する。
(6)教学データの取り扱いについては,本学の関係規程等を遵守し,個人情報等の保護につとめる。
アセスメント・チェックリスト(119KB)
教育の質保証の方針(ファカルティ・ディベロップメント・ポリシー)
大学院公共政策学教育部は,「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」に示す教育目標への到達度を高め,「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に掲げる「教育の質の保証」を高度に実現するため,大学院公共政策学連携研究部に所属し,大学院公共政策学教育部で授業を担当するすべての教員を対象に,教務委員会が中心となってファカルティ・ディベロップメントを積極的かつ組織的に実施します。
教務委員会は,すべての授業科目について,学生による授業評価アンケートを実施し,その結果を集約したうえで,必要に応じて授業担当教員に助言や改善の要請を行うとともに,優れた教育手法(グッド・プラクティス)を教員間で共有するため,学生から高い評価を得た授業の参観をすべての教員に促します。また、教務委員会は教員の教育能力向上のための新たな研修方法の開発にも努めます。