2023年度 政策討議演習(栗山町班)
2023 年度 政策討議演習 (栗山町班)
活動報告
栗山町の基幹産業である農業は、空港や大消費地札幌近郊といった地の利を生かしつつ、米・小麦・たまねぎ・種子馬鈴薯をはじめ多様な品種を幅広く生産しています。今後、栗山町の農業の持続可能性を担保する上で重要となる要素として、新規就農施策をテーマとしました。研究グループは、まず栗山町の農業に関する現状の整理を行いました。その結果、近年において農家戸数の減少が続いていることが確認できました。すでに2010年から栗山町農業振興公社で取り組んでいる新規就農者受け入れの効果もあり、周辺地域(空知)よりも農家戸数の減少率は穏やかであるものの、減少傾向が今後も続く場合、中長期的に農業の持続性担保を考えるならば、さらなる施策の拡充が求められていることが伺えます。
研究グループではこのような現状を踏まえ、既存施策と関係団体の活動をさらに詳しく調べた上で、現地の関係者に聞き取り調査を行って課題の洗い出しを試みました。具体的には、栗山町農業振興公社、栗山町地域おこし協力隊、栗山町新規就農者の方々にご協力頂きました。その結果、新規就農を拡充してゆくためには、就農施策をまちづくりと有機的に連携させてゆく必要があるのではないかという仮説に至りました。いわば、「栗山町の農業・まちづくり」という観点からの施策展開の必要性です。ここまでの分析を踏まえ、政策提言の方向性を次の三つに絞り込みました。①就農予定の方が、移住する前に感じる栗山町の魅力発信。②就農予定の方が、移住した後に感じる栗山町の魅力向上。③持続的に農業を続けることができる環境の整備。
政策提言の参考とするため、2015年に設立された農業組合法人である勝山グリーンファームを取材・調査しました。その結果、地域(勝山地区)全体で農業の危機感を共有することができている出発点から、売り上げ、収益金、後継者確保等の面で成果を上げるに至ったことがわかりました。
こうした調査分析を踏まえ、最終的な政策提言においては、農村RMOの導入(コミュニティ形成)、6次産業化の推進、技術力を高める研修支援制度の充実、農福連携の推進、という4つの柱で提案を行いました。これらを通じ、安定的な新規就農事業の展開と、持続可能な栗山町の農業実現を目指す提言となりました。2月にはグループメンバーが栗山町に出向き、町長に政策提言をプレゼンした上で意見交換を行い、町長からも実務の観点からすでに取り組まれている施策との関係でフィードバックを頂くことができました。農業の持続性確保という課題について、幅広い視点から、かつ、地域の実態に即した政策検討を行うことができました。
(担当教員:武藤俊雄、山本直樹)