2023年度政策討議演習(斜里町班)
2023 年度 政策討議演習 (斜里町班)
活動報告
2023年5月、斜里町役場より、「斜里町再生可能エネルギー導入戦略」に基づき、知床国立公園のゼロカーボンパーク登録を検討するに当たり、斜里町のゼロカーボンパーク個別施策を立案するよう、テーマが提示されました。これについて、学生たちは、「斜里町型循環共生圏」、すなわち、脱炭素化と地域活性化との両立を実現する社会モデルの構築が求められているものと受け止めました。
それを受けて、まずは、斜里町の行政計画、知床国立公園に関する先行研究、ゼロカーボンパーク及び地域循環共生圏に関する先行事例などを調査しました。その上で、2023年7月、斜里町を訪問し、知床国立公園など、現場を見学するとともに、斜里町長を含む斜里町役場、公益財団法人知床財団、斜里第一漁業協同組合、しれとこ斜里農業協同組合、ウトロ協議会、株式会社ゴールドウイン、知床斜里町観光協会及び知床ガイド協議会に対し、ヒアリングを実施しました。その結果、町に対する行政のマネジメント、町民と自然との関わり及び町と観光客との関わりという観点に基づき、関係者間の連携、環境配慮の動機付け及び情報の外部発信という課題を抽出しました。これを踏まえ、知床・斜里町ならではの環境・社会・経済にわたる循環共生圏を実現するため、環境配慮を目的とする地域内外参画型のプラットフォームをソフト・ハード両面で構築するような政策を提言することとしました。
その後、学生たちの議論を経て、2024年1月、学内報告会で意見を交換した上で、2024年2月、「北海道斜里町型循環共生圏モデル-脱炭素をテーマに人と人がつながる社会へ-」と題する最終報告書を斜里町役場に提出しました。具体的には、ソフト面では、知床を取り巻く多様なアクターによって構成される協議会を運営主体として、CSR・ESG経営を意識する企業を対象とする「知床型研修プログラム」を開発して提供するとともに、それに伴う関係者間の協働・交流の場となる「知床地域プラットフォーム」を形成するよう、提案しました。また、ハード面では、スマートフォンアプリやWEBサービスを通じ、地域における交通や観光について、情報を統合的に管理し、地域住民及び観光客に対して検索・予約・決裁を一括で提供するため、「MaaSHARI」と称するMaaSプロジェクトに取り組むよう、提案しました。
これについては、「広報しゃり」2024年3月号において、「知床国立公園のゼロカーボンパーク登録に向けて、外部から見る新たな知床の可能性を見出しました。」と評価されました。
(担当教員:中尾文子・中山隆治・田中謙一)