院長挨拶

 

岩谷 將

公共政策大学院 院長
岩谷 將
Nobu Iwatani

2005年4月に設立された北海道大学公共政策大学院(Hokkaido University Public Policy School: HOPS)は、今年で満20年を迎えました。本大学院は公共政策および公共サービスに関する専門家および職業人の養成を目的とした専門職大学院であり、開設から600人を超える卒業生を輩出してきました。
デジタル化やAIなど技術的に長足の進歩を遂げる一方、現実の世界は想像以上に混沌とし、ますます複雑化しています。テクノロジーがいかに進歩しようとも、それをどのように用いて問題を発見し、解決するのかが求められています。

北海道大学公共政策大学院は、4つのキーワードを目標に掲げてきました。それは、①法学研究科、経済学研究院、工学研究院の連携による「文理融合」、②公共政策を専門とする研究者と中央省庁等の第一線で活躍する実務家教員との連携による「理論と実践の架橋」、③グローバルな世界的課題と地域における諸問題の両者を相互連関的に把握する「『グローカル』な視点」、④様々な地域課題が先んじて重層的に顕在化しつつある北海道の実情とその地域に根差した取り組みをつうじた「北海道発の公共政策」です。
これらのキーワードは20年前の発足時に掲げられたものですが、色あせるどころか、ますますその重要性が高まり、理想として掲げたものを現実が抜き去ってしまった感すらあります。

北海道大学公共政策大学院は6つある公共政策分野の専門職大学院の中で、唯一本州外に設置された大学院です。都市圏とは異なる(そして日本の大多数を占める)地方の地域に根差した諸課題を、グローカルな視点から、文理融合の横断的な学問領域を駆使し、理論と実践の懸け橋によって解決を目指すうえで、実情を肌身で実感できる地理環境にあります。こうした地理環境を踏まえた事例研究や現地調査を取り入れた授業の実践は、本大学院の特色でありつつ、生命線でもあり、徐々にその成果が実を結びつつあります。
わたしたちは、公共政策および公共サービスにかかわる諸問題について、根源的な問題把握と、その根本的な問題解決を目指す、多様な世代、国籍からなるみなさまから選ばれる公共政策大学院でありたいと考えています。グローカルな視点から、北海道に根差しつつ、より広域で、より高次の問題へと課題の普遍化まで見通す力を、そしてその力を、本来得た知見以上に北海道に還元できる知恵を涵養できる、そうした公共政策大学院でありたいと願っています。こうした想いに連なっていただける皆さんの参画を心待ちにしています。

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