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被災自治体における住民の意思反映-東日本大震災の現地調査・多角的考察を通じて-
東日本大震災では、地震・津波により多くの住宅が滅失・損壊し、また、福島第一原発の周辺地域では、居住・立入が制限される状況が生じた。その結果、現在に至るまで多くの住民が、震災前に居住していた市町村区域の内外に避難・転居を余儀なくされている。
これまで、被災自治体においては、復興に向けて各種計画の策定が進められてきた。復興の方向性や事業を提示するこれらの計画やそれに基づく実際の復興施策に、そこへ居住することになるであろう住民の意思を反映することは必要不可欠であるが、自治体が避難している住民やその意思をどのように把握し、政策決定に反映させていくか、あるいは住民相互の合意形成をいかに進めるかは重要な課題である。
これらについての調査研究を進めるため、当センターでは、平成24年7月に「被災自治体における住民の意思反映に関する研究会」(座長 金井利之 東京大学大学院法学政治学研究科教授)を設置し、2か年度にわたって、復興において自治体として重要視している住民の意思反映・合意形成の過程について、被災自治体等でのヒアリング調査などを通じて実態を把握するとともに、その課題等について、関連の専門的視点から考察をすすめてきたところであり、本報告書はこれらを取りまとめたものである。