シンポジウム・公開イベント
国際シンポジウム「北海道ダイアログ:東アジアにおける市民対話」
- 日時
- 2013年1月26日(土)9:00〜18:00
- 場所
- 北海道大学スラブ研究センター402号室
2013年1月26日に、北海道大学HOPS研究所東アジア研究所主催、スラブ研究センターグローバルCOE「境界研究の拠点形成」、法学研究科グローバルCOE「多元分散型統御を目指す新世代法政策学」共催、そして財団法人ワンアジア財団の支援で国際シンポジウム「北海道ダイアログ:東アジアにおける市民対話」を開催しました。この国際シンポジウムは、東アジアにおける市民社会の形成やガバナンスに関する様々な問題について、日韓中台の知識人を招へいし、議論を促進することを目的とし、まずは初回として、中国、韓国、台湾そして日本の研究者を札幌にお招きし、国際シンポジウムを開催しました。
東アジアという地域は、今日において急速に成長を遂げています。他方で、この地域は今まさに様々なグローバルかつ地域的な挑戦に直面しています。環境問題、領土問題、貿易摩擦、格差、自然災害そして台頭するナショナリズムなど、伝統的な脅威から非伝統的な脅威も含まれ、このような挑戦に対して、各国の政治体制は個々にそれを対処しようとしているが、まだ不十分であるといえます。韓国や台湾の民主化の経験が示したように、一方では手続き的公正を導入するのには成功しましたが、必ずしも内に対する社会的正義や外に対する歩調・調整が付随するとは限りません。同様に、中国は急速に経済成長を成し遂げていますが、内部の構造的問題や国家間の相違などが露呈されています。また、戦後日本の「奇跡」を可能にした社会的つながりや制度が衰退していく現象も露呈されています。
「市民社会」がすべての問題に対する万能薬ではありませんが、東アジアにおける共通の課題に関して知的な検討を可能にし、また、市場、国家、または他の伝統的組織では追及できない共通の利益を検討する際にも「市民社会」は重要な概念的ツールになりえるため、このシンポジウムでは、知識人とNGOやNPOがどのように各国のガバナンス構築に貢献できるかということも狙いの一つでありました。
中国からは、元北京電影学院教授の崔衛平先生、元中国社会科学院哲学研究所教授の徐友漁先生、そして清華大学社会学科教授の郭于華先生、韓国からは聖公会大学社会科学NGO研究大学院教授のチョヒヨン先生そして中央大学社会学科教授のイ・ナヨン先生、台湾からは清華大学社会学研究所副教授の姚人多先生と教授、そして屏東教育大学社会発展学科准教授の邱毓斌先生、そして日本からは独立行政法人大学評価学位授与機構研究開発部准教授の田中弥生先生と早稲田大学社会科学研究科教授の篠田徹先生が発表・討論を行い、活発で有意義な議論を展開しました。
この企画は、これから数年継続して開催する予定です。この企画には、様々な機関からの支援を受けておりまして、この場を借りて改めて感謝申し上げます。