院長挨拶

政策プロフェッショナルへ

遠藤 乾

公共政策大学院 院長
遠藤 乾
Ken ENDO

私たちが目の前にしているのは、先進国リスクの時代でしょう。新興国が伸びる一方、民主国は押しこまれています。なかでも英米という19世紀以来の覇権国が政治的なオウンゴールをあげたのが大きい。
 生きやすいのか、生きにくいのか。技術は花開きます。ITからAIへ。遺伝子から宇宙まで。すると、自由は飛躍するのと同時に縮減し、脅かされます。競争は激化し、格差も拡大する。勝ち組は意気揚々ですが、他方で、階級(政治)も復活しました。日本は一億総疲弊社会の様相を呈しています。みな近代とグローバル化の行きつく先にあって、生の意味づけに四苦八苦しています。
 いきおい、自分探しの時代にもなります。けれども、20代初めの若者なら、いくら探しても大したものが見つからないのが実情ではないでしょうか。すでに経験を積んでいる人でも、次なる自画像をうまく描けない。結局、自分は創らねばなりません。

 北海道大学公共政策大学院(HOPS:Graduate School of Public Policy)は、政策エキスパートを育てる専門職大学院です。歴史のある北大にあって、21世紀初頭、全国に先駆けて「文理融合」を掲げ、設立されました。法学研究科・経済学研究院・工学研究院の3つのファカルティが結集し、官民の実務家の参画を得て、ユニークな場を培ってきています。
 なぜ、文/理、学術/実務にまたがる場を立ちあげ、政策エキスパートを育てることにしたのでしょうか。それは、政策の現場が、文理の隔たりのない学知を社会に接地することを求め、学術の場がそうした社会の要請を真剣に受け止めたからです。
 都市防災インフラの構築であれ、人獣共通感染症の対策であれ、あるいは軍民両用技術の拡散問題であれ、多くの場合、政策の最先端は文理の別を知りません。他方、学問の体系は、文理、各学部に分かれ、制度化されて久しい。したがって、意識的に、文系/理系思考の垣根を取り払わねばなりません。さらに、政策が効果的に立案・実施されるためには、研究者による原理・包括的な思考と実務家による経験知・現場知の双方とが糾合される必要があります。HOPSは、全国的にも珍しい場を提供しています。
 ここには、贅沢なほど多くの優秀な教授陣が集います。一人当たりの教員は全国有数の多さを誇ります。学生にとっては、濃密で細やかな指導を得る機会です。カリキュラムは、系統立てられているのみならず、各種の研究会、セミナー、学生企画シンポ、エクスターンシップ、そしてHOPS独自の豊富な海外留学助成など、多くのチャンスが広がっています。
 またHOPSは多彩な人材が競合するアリーナでもあります。学部新卒の入学生は、文/理、研究者/実務家だけでなく、同級の社会人、留学生にも揉まれることでしょう。いつだったか、ある修了生はこのHOPSの特性を「温かい異質性」と称していました。
 社会が荒れ、世界が揺れても、多様性の中で粘りづよく思考し行動する新時代の政策エキスパート。HOPSが育てたいのは、そういう人材です。北の大地でお待ちしています。

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