宇生 航【11期生】

2017年度 パリ政治学院春季研修プログラム

派遣先:フランス/パリ

宇生 航【11期生】

宇生 航はじめに

この度、第 10回目のパリ政治学院研修の参加者として拙文ながらその概要について説明させていただきます。そもそも私が本プログラムに応募した理由は、プログラム開始の前年(平成27年)1月と11月にパリにて発生した同時多発テロ事件に際し、フランス国内のみならず、シェンゲン協定によりボーダーレスに人・モノ等が行き交うEUがどのように国際テロリズムの伸長を受け止め、いかなる形で既存の枠組みを維持したテロ対策を検討しているのか、といった点を実地にて目にしてみたいという思いに起因しております。この答えは、本プログラムにおける座学や、フランス国内及びその他の国への旅行、そしてブリュッセルのEU本部研修等によってその輪郭を素描できたのではないかと確信しております。

1 学科プログラム

欧州統合の過程について、その歴史的背景(過去2回の世界大戦)から導き、今日に至るまでの EU拡大の概要と今後の問題点について十分に理解することができました。また、基本的事項としてEUの各組織の機能と活動についての授業もあり、これまで積極的に理解することができなかった各組織の関係、特に欧州委員会と欧州理事会による政策立案およびその運用の実際についてより深い理解を促すこともできました。もちろん、時局柄テロ対策についても言及があり、現在進行形でEU内での組織改編が進みつつある(各国テロ情報共有の枠組み強化など)なかで、EUが共有する自由と民主主義の価値観及び効果的なテロ規制との間の適切な折り合いのつけ方について深く考慮する機会となりました。

 

2 研修プログラム

本年の研修プログラムは大きく分けて二つ実施され、フランス北部ルアーブルにあるパリ政治学院分校での現地学生との意見交流及びベルギー・ブリュッセルに所在する EU本部等の見学がありました。本稿では後者について述べていきたいと思います。ベルギー・ブリュッセルでの研修は本プログラム最終週に実施され、欧州委員会傘下の対外活動局(EEAS: European Union External Action Service EU外交部に相当)及び欧州議会本会議場を見学しました。特にEEAS研修では東アジア・オセアニア課日本担当の行政官(ポーランド外務省からの出向・課長補佐級)による講話が行われ、EU共通外交安全保障政策の説明を軸に、日・EU関係についての解説があり、ソマリア沖の海賊対処行動(我が国も平成21年より参加)に代表される世界レベルでの日・EUの外交安全保障面における協力は今後より深化するとともに、シームレスな国際協力の文脈からもわが国の平和安全法制についてこれを支持する意見が聴取できたことは非常に興味深く感じた次第です。また、対外活動局の組織的特徴として、人員の3分の1を各国外務省出向者とすることでEU加盟国間での交渉の円滑化を進めることができるととも に、外交官個人の資質として自国とヨーロッパという二つの視座を持った複眼的な政策形成ができるという利点を拝聴し、欧州統合によって生み出される独特の外交感覚について部分的ではあるものの感じ取ることができました。

 

3 私生活等

座学や研修のほかにも、休日にはフランス国内各地や国外(英国)にも足を運び、自己の見識をより深めることに努めました。特にフランス国内においては欧州現代史を語る上で欠かすことのできない、第 2次世界大戦における大きな転換点の一つであるノルマンディー上陸作戦( 1944年 6月)の激戦地跡を訪れ、各種文献等と実地との比較を行うことができました。もちろん、こうした旅行以外にもプログラムに参加した多くの方と日夜を問わず(時に深夜に至るまで)安全保障をはじめとした様々な議論を交わすことができたのは望外の喜びでした。

 

おわりに

本プログラムは 1か月という短い期間ですが、日数以上にはるかに得るものが大きいのではないかと改めて思っております。どのようなインセンティブで応募されるかは皆様の自由ではありますが、きっと研修前に抱いていた以上の成果を得ることができると確信しております。本稿がその一助になれば幸いです。

北海道大学 北海道大学 法学研究科 北海道大学 経済学院 北海道大学 工学院 文部科学省 専門職大学院について